閉塞性動脈硬化症の治療 その4 [治療法]
■ 閉塞性動脈硬化症の治療 その4
かなり間が開きましたが、治療の「その4」です
前回は、運動療法や炭酸泉療法についてでした。
今回は、血行再建術と血管新生療法です。
□ 血行再建術
血行再建術とは、血行をよくする目的に行われる手術。運動療法や薬物療法を行っても、思うような効果が得られなかった場合に行われるものです。「カテーテル治療」と「バイパス手術」という2つの手術があり、状態によってどちらかを選択します。
「カテーテル治療」には2つの方法があります。
1 動脈が狭くなったり、詰まったりした個所に、カテーテルを入れる
2 カテーテルを通じてステントを動脈内に導き、狭くなったり閉塞したりした部分に固定
ステントというのは、金網を円筒にした人工血管です。1も2も、血行をよくするのが目的。血液が通りにくくなった血管を、正常に開通させるのが目的です。カテーテルを使ったこの方法は、近年になって、治療成績が向上してます。とくに骨盤内を流れる腸骨動脈の領域の治療には、おおきな成果を上げています。
・バイパス手術
バイパスとは迂回する近道のこと。都市計画では、都市部を迂回するように、流れのよい道路などを整備しますね、あれがバイパスです。閉塞性動脈硬化症においても「バイパス」が使われます。狭くなったり詰まったりした個所に、体のほかの部分から切り取った血管または人工血管を〝バイパス〟として取り付け、血流を確保するわけです。
カテーテル治療に比べると、患者の身体的負担は大きいというデメリットがあります。しかし動脈の場所によっては、カテーテルよりも適している場合もあります。
□ 血管新生療法
血管新生療法とは、新しい血管をつくりだし、足の血流不足を補うものです。薬物療法がきかず、血行再建術もできない。そういう患者に対して提案される、最新の治療方法です。患者自身の骨髄や、血液中の単核球の移植が、先進医療として認可されてます。すこぶる有効であることが報告されています。国内では現在のところ、まだまだ治療件数は少ないといえます。
閉塞性動脈硬化症の治療 炭酸と運動 [治療法]
■ 閉塞性動脈硬化症の治療 その3
閉塞性動脈硬化症を治療する方法の、3回目。
今回は、運動と炭酸での治療です。
前回の「禁煙」や「薬物療法」というのは、個人でも可能です。タバコは止めればいいだけ(それが難しいんだけど)ですし、薬は処方してもらえれば、自宅で飲めます。あとは、定期的に、診察を受けて、医者の判断を仰ぐわけです。
しかし、運動療法や炭酸泉療法は、ちょっとそれが不可能なようです。
・運動療法
閉塞性動脈硬化症にかかったとき、初期の治療として行われるのが運動療法です。血液不足の足への血流を増やすとともに、血液中の酸素の利用効率を高めることを狙いとしてます。普通は、週に3回ほど行います。内容は「トレッドミル歩行」です。
トレッドミル歩行とは、回転するベルトの上を歩行する運動です。ただし、患者さんの状態によっては「トラック歩行」の場合もあります。「トラック歩行」とは、運動療法室の床に描かれたコースにそって歩く療法です。
トレッドミル歩行の開始時のレベル(強度)はこうなります
時速:2.4km
勾配:5%から
歩行の最中、足の痛み(下肢痛)が「中等度※」になった時点で、歩行を中断し、休憩をいれます。痛みがなくなれば、再度歩行を行います。再び中等度の痛みを感じるようになったら中断し、休憩する。これを繰り返し、30分間行います。
時速や勾配といった「運動の強さ(負荷量)」は、歩行状態を確かめながら、少しすつ上げていきます。最低3か月間は続けます。
「運動」は、広範囲の病気を改善に役立ちます。高血圧症をはじめ、脂質異常症や糖尿病などを管理するうえで、非常に効果的なんです。身体的問題がない限りは、患者自身もなんらかの、運動を続けて習慣化するのが望ましいですね。
・炭酸泉療法
炭酸泉療法は、いわば足浴です。人工炭酸泉発生装置で、37℃の温水中に濃度1000ppm以上の炭酸ガスを発生させ、その中に足を10.15分間つける療法です。足浴の温泉療法の一つというわけです。運動療法は痛みを伴いますが、それと較べれば、気楽で気持ちいいといえます。閉塞性動脈硬化症のうち、特に重症下肢虚血の場合に炭酸泉療法が行われます。
炭酸泉は直ぐに効果が現れませんが、それなりの効果があるとされてます。皮膚に浸透した炭酸ガスは、皮下の微小血管を拡張させたり、交感神経活動を抑制したりします。末梢血管の循環を改善して、治療に役立つと考えられています。
※ 参考までに
痛みの指数というのがあります。「STAS-J」と言って、英国で開発された評価尺度です。0~4までの5段階を医療者が評価します。
0 なし
1 時折のまたは断続的な単一の痛み
患者が今以上の治療を必要としない痛みである。
2 中等度の痛み
時に調子の悪い日もある。
痛みのため、病状からみると可能なはずの日常生活動作に支障を来す。
3 しばしばひどい症状がある
痛みによって日常生活動作や物事への集中力に著しく支障を来す。
4 持続的な耐えられない激しい痛み
他のことを考えることができない。
閉塞性動脈硬化症を治療する方法の、3回目。
今回は、運動と炭酸での治療です。
前回の「禁煙」や「薬物療法」というのは、個人でも可能です。タバコは止めればいいだけ(それが難しいんだけど)ですし、薬は処方してもらえれば、自宅で飲めます。あとは、定期的に、診察を受けて、医者の判断を仰ぐわけです。
しかし、運動療法や炭酸泉療法は、ちょっとそれが不可能なようです。
・運動療法
閉塞性動脈硬化症にかかったとき、初期の治療として行われるのが運動療法です。血液不足の足への血流を増やすとともに、血液中の酸素の利用効率を高めることを狙いとしてます。普通は、週に3回ほど行います。内容は「トレッドミル歩行」です。
トレッドミル歩行とは、回転するベルトの上を歩行する運動です。ただし、患者さんの状態によっては「トラック歩行」の場合もあります。「トラック歩行」とは、運動療法室の床に描かれたコースにそって歩く療法です。
トレッドミル歩行の開始時のレベル(強度)はこうなります
時速:2.4km
勾配:5%から
歩行の最中、足の痛み(下肢痛)が「中等度※」になった時点で、歩行を中断し、休憩をいれます。痛みがなくなれば、再度歩行を行います。再び中等度の痛みを感じるようになったら中断し、休憩する。これを繰り返し、30分間行います。
時速や勾配といった「運動の強さ(負荷量)」は、歩行状態を確かめながら、少しすつ上げていきます。最低3か月間は続けます。
「運動」は、広範囲の病気を改善に役立ちます。高血圧症をはじめ、脂質異常症や糖尿病などを管理するうえで、非常に効果的なんです。身体的問題がない限りは、患者自身もなんらかの、運動を続けて習慣化するのが望ましいですね。
・炭酸泉療法
炭酸泉療法は、いわば足浴です。人工炭酸泉発生装置で、37℃の温水中に濃度1000ppm以上の炭酸ガスを発生させ、その中に足を10.15分間つける療法です。足浴の温泉療法の一つというわけです。運動療法は痛みを伴いますが、それと較べれば、気楽で気持ちいいといえます。閉塞性動脈硬化症のうち、特に重症下肢虚血の場合に炭酸泉療法が行われます。
炭酸泉は直ぐに効果が現れませんが、それなりの効果があるとされてます。皮膚に浸透した炭酸ガスは、皮下の微小血管を拡張させたり、交感神経活動を抑制したりします。末梢血管の循環を改善して、治療に役立つと考えられています。
※ 参考までに
痛みの指数というのがあります。「STAS-J」と言って、英国で開発された評価尺度です。0~4までの5段階を医療者が評価します。
0 なし
1 時折のまたは断続的な単一の痛み
患者が今以上の治療を必要としない痛みである。
2 中等度の痛み
時に調子の悪い日もある。
痛みのため、病状からみると可能なはずの日常生活動作に支障を来す。
3 しばしばひどい症状がある
痛みによって日常生活動作や物事への集中力に著しく支障を来す。
4 持続的な耐えられない激しい痛み
他のことを考えることができない。
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